年齢を重ねるほどに、介護の現実が身近になってきますよね。
先日、大先輩のケアマネジャーさんから教えていただいた一冊が、心にグッと刺さりました。
六車由美さんの著書『それでも私は介護の仕事を続けていく』

もうすぐ後期高齢者というその大先輩、いまなお現役でバリバリ働くケアマネさんなんです。
知識も経験も豊富で、なによりもご利用者さんへの向き合い方が丁寧で、愛がある。
本当に素敵な方なんです。
そんな彼女が「これは読んでみて」とすすめてくれたのが、この本でした。
読み進めていく中で、ある言葉にハッとさせられました。
「自立とは、依存先を増やすこと」
この言葉の主は、小児科医であり、ご自身も脳性まひという障害を持つ熊谷晋一郎さん。
まさに、当事者だからこその説得力ある言葉でした。
私たちは「自立」と聞くと、つい「誰にも頼らないこと」だと思いがちです。
でも実際、誰かの助けを一切借りずに生きている人なんて、いるでしょうか?

むしろ、周りに頼れる相手が多い人ほど、安心して、自分らしく生きていけるのではないでしょうか。
障害を持つ方々は、その“依存できる先”が限られてしまっているというだけであって、社会の側がその選択肢を増やしていくことが、本当の意味での「自立」につながるんですね。
私自身、五体満足で健康に暮らしていても、結局はさまざまな人や仕組みに支えられて生きています。
病院、家族、友人、ご近所さん、スーパーの配達…数えきれません。
だからこそ、もし体が思うように動かなくなったとしても、必要なのは「一人で頑張ること」ではなく、「頼れる場所を増やしておくこと」。
それが、自立なんだと。
介護の仕事に携わっているのだから頭ではわかっていましたが・・・
改めて考えさせられました。
介護の仕事に就いて、もう27年が経ちます。
現場の仕事をこなしながらも、まだまだ「学ぶことって尽きないな」と実感する毎日です。
最近、委託先の社長から「そろそろ後継者を…」なんて話もありました。
急に体力の衰えを感じるようになったそうで、「あと10年続ける自信がなくなった」とポツリ。
その社長とは、ちょうど同じくらいの年数、介護の世界を一緒に歩んできた仲。
そんな話をする年齢になったんだなぁと、ちょっと切なくなりました。
これからの高齢社会において、自立して生きるために必要なのは、やっぱり「人とのつながり」。
頼れる場所、頼れる人がたくさんいることが、何よりの安心材料になります。
介護事業所、ご近所の顔なじみ、友人、かかりつけ医、薬局、地域の民生委員さん、ボランティアの方々、食材の宅配業者さん、介護タクシー…
誰かひとりに頼るのではなく、いろんな窓口に気軽に頼れる体制をつくること。
それが「自立して暮らす」ための土台になるのだと、改めて感じています。
このブログを読んでくださっている方の中にも、そろそろご両親の介護を意識しはじめた、という方が多いのではないでしょうか。
家族だけで背負いこむのではなく、上手に社会資源を活用する。ここ、ほんとうに大事です。
実は、わが家も義母の介護認定の更新時期が近づいてきました。
(義母の介護エピソードはこちらの記事に書いています)
ちょうど母の日だった昨日、義母を訪ねて「手続きは私がやるからね」と伝えてきたところです。
今はまだ、暑さもそれほどではないですが、去年の夏は本当に大変でした。
暑さで食欲が落ち、起き上がるのもやっとという状態に。
軽い認知症も入っているので、今年の夏はしっかりと食事と体調管理をサポートして、元気に乗り越えられるようにしたいと思っています。
今日は久しぶりに、介護について綴ってみました。
「自立って、誰にも頼らないことじゃないんだよ」
そんな気づきが、誰かの心にも届いたら嬉しいです。
それでは、またね。
こちらもお勧めです。




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